小さく建てて小さく暮らすジャイルズ邸 in ダンドリッジ テネシー州
米国テネシー州ジェファーソン郡ダンドリッジの傾斜に建つダブテイルログハウス
Giles Guest House – Dandridge, TN
テネシー州東部に位置する貯水池として造られたダグラス湖。その湖畔の傾斜地に建てられたダブテイルログハウスは、米国ハースストーンホーム社のCEOであるランディ・ジャイルズ氏の居住用ハウスとして1985年に建てられました。
現在はゲストハウスとして活用されているこの建物は、延床面積111㎡・3階建て・間取り2LDKとなっており、建築面積は約5.49m x 7.31m(40㎡)とハースストーンホームがこれまで建てた中でも特に小さい家となっています。
ログビルダーとして事業を切り盛りしてるCEOであるランディ氏が、何故このような小さい家を建てたのか?と疑問に思うかもしれませんが、それには明確な理由があります。
「小さく建てて小さく暮らすデモンストレーションでした。これは私にとって重要な事で、小さくても住みやすいログハウスを建てることが出来るんだとのアピールでもありました」とランディ氏は言います。
ジャイルズ夫妻は、40㎡の建築面積しかない極小のダブテイルログハウスに、4人の子供を育てながら15年間暮らし、自ら「小さく建てて小さく暮らす」を証明しました。
それでは、どのように家族5人であの家に住むことが出来たのか?
室内の共用エリアであるダイニングとリビングが小さかったため、家族はバックヤードポーチにて食事することが多かったようです。又、子供たちは時折、湖の上のボートや湖畔キャンプなどで夜を過ごしていたようで、「もっと大きな家に住んでいたら、アウトドアな生活スタイルでは無かったかもしれない」とランディ氏は言います。
「ログハウスに住んでいると、自然を楽しむ気分になりアウトドア派になるのか、それとも自然を楽しむ人々がキャビンライフに惹かれる私には分かりませんが、子供たちは毎晩ベッドで寝ることにこだわることはありませんでした」とランディ氏は語ってくれました。
「小さく建てて小さく暮らす」までのジャイルズ夫妻のストーリー
この話を冒頭まで戻しましょう。
ランディ氏はペンシルベニア州で育ち、インディアナ州の平原にあるパデュー大学で4年間過ごした後、木々に覆われた穏やかな山に戻りたいと切望しました。
1980年代初頭、手の届く価格で売りに出されていたダグラス湖を見下ろす約32ヘクタールの土地を購入し、1985年には夢であった「150年以上前に建てられたようなオールドログハウス」を現実のものとしました。
1階には共用エリア(リビング・ダイニング・キッチン)を設置し、2階には夫婦のマスタースイートを追加。そして地下のベースメントには、子供たち用の部屋とバスルームを設けました。建物を急な斜面に建てたことによって、ベースメントの壁3面に窓を設けることができ、部屋の明るさと通気性を確保することが出来ました。
当初は、オールドログハウスの完全なレプリカを計画していましたが、数世代前の人々は体が小さかった為、天井高・ドア・階段など現代のニーズに合わせました。又、建物裏側の壁には小さな窓ではなく、大きな窓を設置したことで、視覚的な広さを演出することができました。
ランディ氏によれば、伝統的なオールドログハウスでは、小さな窓が使われているようで、彼の顧客も当時の忠実な再現を求める人が多かったと述べています。しかし、特にここ数十年で、建物の裏側には大きな窓を取り入れたいというリクエストが増えているとも言っています。
ランディ氏は、「この小さな家は驚くほど長い間、快適な居住空間として機能してくれました。小さな家は、あなた方が思っているより住みやすいです」と自信満々な笑顔で語ってくれました。